水甕芦屋支社、7月第2土曜日の定例歌会の後、恒例になった勉強会を行った。今回のテーマは大森静佳歌集『カミーユ』。

この歌集は以前にもこのブログでとりあげたが、映画「カミーユ・クローデル」や、ロダンの彫刻作品などをベースにした短歌が多数掲載されている。映画や彫刻、絵画などの芸術作品に短歌を重ねる、「二次創作」である短歌作品をどう読むかが、今回の勉強会の主題となった。

  

 みずうみに顎を浸せるつめたさのロダン〈パンセ〉を夜更け見ていつ

 

ロダンの〈パンセ〉という作品を私は知らなかったが(今はネットで写真や解説が簡単に検索できる)、

石の塊の上に頭部のみが、彫られている奇妙な像。顎はその石にのせられ、「みずうみに顎を浸せるつめたさ」はそこから引き出されたと思われる。モデルは、恋人のカミーユ・クローデルで、ロダンとの破局の後、生涯を閉じるまで精神を病んだという女性である。

このようなロダンの作品の壮絶ともいえる背景の上に、作者の思いを短歌として表現すること、つまり「二次創作」の是非を、この勉強会の中で結論づけるには至らなかったが、それを考える貴重な時間となった。

(水甕芦屋支社 加藤直美)