短歌作品
降ったなぁ……。
怖い歌はおもしろい
ごつごつと狛犬じゃれあう音ひびく青島神社に匂い立つ闇 笹公人
5月31日、水甕全国大会2日目、笹公人氏の講演「現代短歌の散文化とアニミズムの衰退について」の中で紹介された1首だ。狛犬とは神社に置かれている獅子のような犬のような動物の像で、魔除けの力があるとされている。雄と雌が対に置かれることが多く、その2匹がじゃれあう音がごつごつとひびくという。ちょっと不思議で、ちょっと怖い。穂村弘が「怖い歌はいい歌」と言っていたのを思い出す。怖い歌はたしかにおもしろい。怖いと思う人の心に触れてくるから。講演のなかで「目に見えるものは見えないものに触っている」という言葉が印象的だった。 (加藤直美)
悪霊に憑かれしファービー甘え声でオレゴン州立刑務所を語る 笹公人
幽体を剥がしてメールに添付する行きたいところは聞いてやらない 笹公人
点字図書館
半分
半分の月をぶわつとふやかした川のほとりで飲むハイボール
(木村美和)