8月5日(日)愛知県豊橋市豊橋商工会議所に於いて、田村昌子『せんにちこう』、丹羽智子『牟呂町字作神』の、「二歌集を読む会」が行われました。パネラーは、小塩卓哉氏(音)、春日いづみ氏(水甕)、清水正人氏(水甕)。各地より約100名の歌友が集い、互いの読みを深める充実のひとときとなりました。一部、紹介します。
『せんにちこう』について。
・音調をストイックに守り、一字空けもせず、視覚でとらえるリズムも守りながら、七七を、四三三四と刻むなど、単調にならないよう工夫された様子が見て取れる。(小塩)
・身辺を素材にしたものは「表現」をせねば日記になってしまう。ひそかに用いられる技法の数々。時間の往還。(春日)
・長い歌歴を持つ歌人が一冊にまとめる時の構成の難しさ。いかに捨てるか、また掘り起こすか。(清水)
『牟呂町字作神』について。
・地名をタイトルにした歌集は、なかなか無い。地名は歌枕であり、『牟呂町字作神』も作者にとって言葉の力を持った歌枕である。(小塩)
・連作や一冊を通して作者が見えてくる。本歌集は、一冊の連作である。(春日)
・田村氏丹羽氏両名が、意識するともせざるとも現れる、榛名貢先生(水甕)の教え。①具体があること、②(言葉の、事柄の)続き柄を新しくすること、③爪先立って我慢すること(エリオット:「表現とは爪先立って我慢すること」)(清水)
(水甕岡崎支社 木村美和)