残しのなき人生をとそんなこと死はいつだって人生の途上
久保みどり『鳥と暮らす』(角川書店、2018年)

 この歌集を読んでいる頃に、大勢の人が死傷した放火事件のニュースを聞いた。この歌はもちろん昨年より以前に詠まれたものだし、事件を予言したわけではないが、妙にドキリとした。
 私の住んでいる地域から近いところでは、三年前に障害者用施設でテロが起きて19人が亡くなった。海の向こうの国では、学校やお祭り会場で銃が乱射される事件が頻繁に起きている。そうした事件でなくても、つまりニュースにならないような事故や病気によってでも、自分や誰かの死は<人生の途上>にやってくる。
 若年でなくったって、平均寿命をはるかに超えていたって、あなたがいなくなれば、それは<いつだって人生の途上>のこと。

(重吉 知美)