野分のわきにも倒れなかったというピーマン刻めば猛暑が死にゆく匂い
左様さようなら夏よ胡瓜きゅうりをガリガリ喰い生姜しょうがおろして秋茄子あきなすを焼く
太陽と土の思い出の味がする平飼い卵のぶっかけごはん
考えて書くこと土を耕すこと命を育てて食べていくこと
草叢くさむらの緑のせていく初秋しょしゅう縷紅るこうの花はひっそり紅い    『水甕』2019年1月号


 愛知県知多半島の農園から野菜と卵を取り寄せている。給料日直後の月一回の楽しみだ。
 荷物の中には、写真や説明書きでいっぱいの農園だよりも入っている。自然災害や害虫との闘い、あるいは共存の様子に、思わず私も一喜一憂する。
 熱意のこもった文章を読んでいると、この人は農園だよりを書きながら考え、考えながら書き、また新たに有機農業への思いを強くするのだろうと感じた。私たちも短歌作品を書きながら考え、考えながら書いていこうではないか。

(水甕 重吉知美)