かさなりてうち重なりて大空に花火は重き音をともなふ 三崎澪

角川『短歌』2018年10月号、「花火」より。花火を視覚ではなく聴覚で捉えている。しかもその音は「重い」という。腹の底に響くような大きな音なのだろう。
<かさなりて>、そして<うち重なりて>と続ける言葉のリズムが、なるべく切れることなく打ち上げられ続ける花火の様子をしっかり示している。ひらがなと漢字の使い分けも参考にしたい。

二尺玉三尺玉のひろがれば遠のくものの音のさびしさ

花火が拡大して消滅することを<遠のく>と見た。七首で構成された連作だが、花火をテーマにしているのに、どこか寂しげなのが印象的であった。

(水甕 重吉知美)