今年の4月はモッコウバラがずいぶん咲いていた気がする。歌会で次の歌を出してみた。

あの家は木香薔薇がよく咲いた仲良い夫婦が住んでいそうな

 参加者から肯定的な評価もあったが、春日いづみさんは平凡であることを気にされて、「もっとミステリアスにしてみて」とおっしゃった。
 改作して結社誌に投稿して採用されたのが、次の歌。

シルバーカーとベビーカーのある庭の木香薔薇は満開に咲く (『水甕』2018年8月号)

 ミステリアス……まではいかなかったが、人生を連想させる二つのアイテムを置いた。こうなると、私が現実に見たものではなくなる。しかし、どちらが短歌としてはよりマシかは明らかだ。
 いづみさんは時々、全部本当のことを書こうとしなくていい、ちょっと変えることで詩にすることができる、とお話になる。想像力を働かせて、日常を詩的にするのである。

(水甕 重吉知美)