異性への入浴介助恥ずかしい笑顔を見ると気にならない
VU THI THU TRUNG [ブティテゥチャン]『NHK介護百人一首2018』
 
 作者はベトナムから留学し、介護職を目指していた女性。
 私は介護の現場は知らないが、病院で男性の医師や看護師、検査技師に肌を見せることはある。そこで照れたりしないのがプロであり、こちらも彼らのプロフェッショナル意識を信頼して体を預けている。
 この作者には、当初はそうしたプロとしての自覚がまだなかった。介護の勉強を始めたばかりだったのかもしれない。彼女の「照れ」を変えたのが、利用者たちの<笑顔>だ。入浴介助を受けて満足そうに微笑む彼らを見て、この仕事が重要であり、恥ずかしがる必要などないと確信したのだろう。
 つまり、この歌は内面の変化の一瞬を表現しており、読者は彼女が介護職のプロフェッショナルになった瞬間に立ち会ったのである。

(水甕社 重吉知美)